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初心者にこそオススメのイラストトレーニング法と注意点

世間でのイラストトレーニングの中に、30秒ドローインというものがある。これは文字通り30秒で素早く描くことで、情報表現力を鍛える方法だ。これも初心者から上級者まで有効なトレーニングだが、ここで紹介するのはさらに効果的な5秒ドローインである。

5秒ドローインで行うことは1つ。頭に浮かべたイメージを雑でも形だけでも良いので5秒で描ききる事。例えばワンピースのルフィを描くとする。そうすると貴方の頭の中ではルフィの顔やポーズが一瞬だけ浮かぶだろう。ワンピースのルフィを想像するな、と言われて想像してしまったときのようなイメージだ。どんな顔、どんなポーズで思い浮かべたかは貴方にしかわからないが、とりあえずその一瞬浮かんだ姿を下書きよりも雑な輪郭で良いので5秒で描くのだ。

イラストを描く際に初心者が陥りやすいミスの1つに、イメージの持続がある。なんとなくこういう形では浮かぶんだけど、細部を描こうとしたり、絵に描こうとすると上手く描けない。というのも人間のイメージ記憶時間は驚くほど短い。瞬間的に人間が覚えられる文字数は7~8桁までというのが通例で、これはイメージでも同じだ。頭の中でイメージしている絵は、実は映画やアニメのように一瞬一瞬をつなぎ合わせているに過ぎない。頭の中という直接視認できず、視界の隅に一瞬だけ映る映像を見て描いているようなものなのだ。これではとてもではないが模写でもやっとな初心者では手に付かない。

そこで5秒ドローインである。一瞬だけイメージが浮かんで消えるなら、その消える前に描いてしまえばいいのである。いわば下書きの下書き、輪郭やポーズ程度の描写でいい。初心者は下書きの意味をよく理解していない。下書きは全体像、作業を見渡せるための下見である。おそらく下書きといっても多少線がぶれていたり程度で時間をかける人が多いのではなかろうか?これは大きな間違いで、下書きに時間をかけているとイメージはぼやけるし、描いている内にあれもこれもと筆が迷う事になる。まずこれを描く!というゴールをかきあげなければダメなのだ。全体像を描くのには、5秒で十分である。

他にも5秒ドローインは、パーツを組み立てるという意味でも重要だ。ある程度絵に関わった人ならば、これいいなと思う絵が幾つかあるはずだ。参考になる顔やポーズ、塗りの資料としてもそうだろう。完全なトレスはご法度だが、ある程度の型抜きや資料として他人の絵を模倣する、見て描くのは上達には必須だ。それらの絵を選ぶ際にも下書きの下書きは必要である。頭の中でこれいいな、これ描こうかな、といってまとめた後描こうとする人物は非常に筆が遅い。それらの集めた絵をパズルのように組み合わせ、そこから下書きを始めるから当然である。多すぎる選択肢は、かえって選ぶのに時間がかかるのだ。

最初に5秒ドローインで全体像を描いておき、ふさわしい資料を集めるのと、頭の中でイメージし、資料を集めて下書きをするのでは、同じようで効率が全く違う。遅い者、描けない物はまずアニメや漫画などで描くキャラを選び、そこから資料を集め、ポーズなどの下書きを始める。早い人はまず描くキャラを決め、即座に5秒程度で浮かんだイメージを全体像で下書きし、そこから当てはまる資料を集めて肉付けする。これは買い物やスーパーで無駄遣いをしない方法と同じだ。最初に買うものを決めておけば無駄遣いはしない。何かいいものないかな、と見回る過程は楽しいが、それでは無駄な物を買ってしまうし、時間も大幅にかかる。

絵を描くのは細やかな細分化が重要だ。下書きから清書、色塗りでは一足飛びすぎている。下書きの下書きの下書きというレベルで肯定を細分化し、確実に完了させて一歩一歩描いていくのが正解なのだ。絵を描くのは長期戦だ。10時間かかるなんてことも珍しくない。頭や視覚でのイメージは一瞬なのに、手で描く際は驚くほど進展が無い。初心者ほどこのギャップに苦しむ。すぐに描けそうな絵でも、長時間かかっている事、絵を描くには時間がかかるという事を念頭することが、上達への第一歩である。