履歴書に米粒

これは友人が実際にやらかした事なんですけど、彼って履歴書に米粒を付けて送付しちゃったんですよ。もうこれって大失敗です。履歴書はこう、ビシッ！としてそいつの人生を左右する顔じゃないですか。どんだけビシっとキメてても、たった１つの事で台無しになるってよくあることです。

画竜点睛を欠くなんていいますが、どれだけ精巧にできてても一点でダメにもなることもあるし、逆にどれだけダメでも一点だけ精巧にできてりゃいいなんて事もある。今回の彼は、その間というか、米粒が逆に好感を得たみたいでね。

えぇ、普通とんでもないなんて怒られるもんでしょ、大事な履歴書に米粒。
けど今回はそうじゃなかった。米粒がかえって親しみを彼に与えちゃったんですよ。面接なんて嘘八百。みーんなかしこまって同じ受け答えばかり。ウソばかり上手くなっちゃってほんとの姿なんて見えやしない。けどそれが今の社会で、ウソついてるのが当然で、他人は他人でどうしようもない。

これじゃとても仲良しなんてできないよ。その壁を米粒一点が取り除いちまったんだからおかしなもんだ。米粒がついてるってこたぁ、米粒がつくような場所で書いたってことだ。茶の間か、机か。TV傍らに付けながら必死こいて書いたのかもしれねぇ。どんな場所で書いたとか想像できるともうとまらない。こいつは米粒の事しったら驚くだろうか？そんな事を考え出したらお高くとまったスーツ姿が途端んにおかしく見えてくるんだ。

親近感というのか、完璧さに見える鈍さというか、あぁこいつも人間だなって下手クソさが大事なんだよ。なんでもできるスーパーマンはすごいけど、ちっとも面白くない。親しみなんてもちようもない・こいつのは場合はスーツと面接なんて堅苦しさでの米粒で、茶の間で勉強という親近感だった。普通でいえば大失敗の米粒で大成功なんだから人生わかんねぇよな。

人間、真剣だけじゃダメだ。ギラリと光る刀がちょっと錆びてるくらいが丁度いいんだ。何が画竜点睛を打つかわからねぇんだから、畏まるより自分のサビを見せた方がうんと楽さ。